耳コピ以上、編曲未満

(2004/10/13記) ゆきっちさん本人のフォローにより、今回紹介する作品は「ピアノで原曲を再現する」という目的の『耳コピ』作品であることがわかりました。以下の文章は自分の中での「編曲」という観点で書いていますのでご了承ください。先にわかっていたのなら、文章自体書かなかったのですが、そうとは知らずに書いたものである以上、この注釈を併記することと同時に残しておくことにします。

 最近、音系の情報を集めようといろいろ周っていたら、このようなサイト(管理人:ゆきっちさん)を発見しました。この記事を読む限り、どうやら「一般のアレンジのような『バイエル程度』の難易度では物足りないので、自分は難易度を考えずにアレンジをする」ということだ判断しました。それを踏まえてCLANNAD(Key)の「同じ高みへ」というBGMをピアノアレンジした作品を聴きました。
 なかなかいい曲じゃないかと思っていたのですが、どことなくKeyの雰囲気から逸脱していない、言い換えると編曲者ならではの部分が見えてきませんでした。もしやと思い、友人に頼んで原曲の方を聴かせてもらったわけなのですが…。
 どこを編曲いじったのかさっぱりわかりません(;´д`)
 原曲と演奏時間がほぼ同じだった時点で気が付くべきでしたが、まさか機械変換(な感じ)だとは思いませんでした…。どのぐらいにているかと言うと、「DNAレベルでヒトと猿」ぐらい似ています*1
 楽譜も公開していたので見てみたのですが、この3段譜は2段譜のままでもいいのでは?と思いました。そう思った理由として、声部が3つと言うわけでもなく、旋律+伴奏という分け方でよいのではと思ったからです。もし、無理やり「旋律+アルペジオ+ベース」という3パートと考えていたら、34小節以降(3p目)も中声を中段に持ってくれば良いのに、と思いました。しかも3p以降は中段に音が入っていません。入っていないのなら2段にすればよいのに、もしかして中段の全休符に意図があったのでしょうか。
 ピアノアレンジではシンプルなものとコンプリケイションなものとでベクトルが分かれますが、結果にいたる過程によって評価が分かれるかと思います。
 例えば、ぴこのスコアのように「原曲から単純化」を施した良い例も挙げられますし、萌えさいとのように「原曲から複雑化」を施した良い例も挙げられるかと思います。また、EMBRYOのように「難易度を考えずに作ってしまったために、編曲者本人が打ち込みに徹してしまった」例も挙げられます。
 そう考えてみると、今回紹介したアレンジでは「削ぎ落とした部分、肉付けした部分、壊した部分、再構築した部分」がまったく見えてこないのです。
 今回の作品は「楽譜化という作業工程」に対してのみ評価したいと思います。工業製品としての価値はものすごくあると思うのですけどね。
 もし、目的が「原曲をピアノで限りなく再現する」のみでしたら、達成されているかと思いますので、まったく問題ないかと思います。しかし編曲となると、さすがに「ソースコードコピーして変数名だけ変えて提出した」ようなアウトプットではちょっと…。

*1:友人にこう言ったら「いや、DNAレベルでヒトと使徒ぐらいじゃね?」と言われましたが…