亡き嬢にささぐトッカータ

 亡き〜と続くタイトルで有名なのは、ラヴェル作曲の「亡き王女のためのパヴァーヌ」です。ちなみにラヴェルの方のタイトルの由来は「単に語呂がよかったから」だそうで*1
 今回紹介する作品は微妙にここでの登場回数が多いアルトノイラントのひろよさんの作品(日記の6月19日付けからダウンロードできます)です。東方妖々夢より「幽雅に咲かせ墨染めの桜 - border of life - *2」のピアノアレンジです。
 まず一通り聴いて真っ先に思ったことは「原曲からピアノ曲」へのトランスレートが巧くできているなぁと。それから印象的な「左の低音連打*3」ですが、ひろよさんの個性として確立されつつあると思いますね。
 部分的に見て行くと、32秒〜の長いクレシェンドの演出がイイですね。ノイズを考えると多分「生楽器録音」ではないと思うので、これが生ピアノで表現するとなると「徐々にペダルの踏む量を増やしていき、音がぼやけていく」といった印象になるでしょうね。
 ただ、その先で出てくるグリサンドを経てメインメロディに移行する部分が弱いかなと思いました。グリサンドをもう少し前もって始めると良かったかもしれません。一瞬入るグリサンドは「無理に入った」感じに聞こえてしまうので使い勝手が難しいかと思いました。それとは反対に1分46秒のグリサンドは今度は「途中で終わってる」感じがして、「おや?」と思いました。実際グリサンドを使いこなすのは難しいので、実際に弾こうとする人は要練習ってことですね…。
 あと個人的に気になったところは1分59秒の終止形がそのまま次の伴奏の形に継承されているところ、もう一つは2分12秒で「音が密から疎」に変わる部分ですね。この手の演出は他ではなかなか耳にしないのですごく新鮮で良いかと思います。
 そういえば、ひろよさんの日記上でいくつかレスが付いているのを見ましたが、「やんわり感想を言っておいて、指摘だけする」みたいな感じがちょっと漂ってて微妙でした…。これって、どこかの絵描きさんのサイトで「新しい絵をアップしました」と言い、そのレスで「新しい絵を見ました。いい雰囲気ですね。ところでパースが狂ってるのが気になりました」みたいなのが付いているような感じかな…。音サイトって難しいなぁと思いました。確かに「ここのこういう部分が良かった」みたいなのは言葉で表現しにくいですしね。
 

*1:原題が「Pavane pour une infante defunte」と言うらしく、韻を踏んでいるからだそうで…

*2:ステージ6ボス:幽々子の曲ですね

*3:1分48秒以降の低音でわかるかと思います