個人メモ2

 楽器を配分するだけなら機械でもできます。昔は機械が無かったからそれなりの需要があり、しかも一般的技術が確立していなかったので、それこそ専門家の範疇だったのですが、今になっては「和声付け」「伴奏」「音域による楽器割当」「各楽器の特性利用」などは方法論的にもアルゴリズムが考えられてしまいます。ブソーニの「オルガン→ピアノ」の編曲技法論をもとにすればある程度「ピアノ編曲」が自動にできるんではないか?と思ってしまうのです*1
 ではどこに力を注ぐべきかと言うと、おそらく「ある音響をどのタイミングで持ってくるかというのを考えること」ではと思います。「演出」に近いかもしれませんが、大体似ているかと思います。大分前にも書いたことがあるのですが、あるAと言う音響を聴いて、A'と感じたとします。聴いた人にとって、もしA'を表現したい場合はAもしくはそれの類型を奏でることによって表現できるのではないかと思うのです。しかし、A'を表現する方法は1つではありません。本人ですらいくつか方法が挙げられるし、他の人に至ってはまったく違う音響Bを作るかもしれません。このあいまい性が「自動化」を阻む最大の要因となっており、今のところ作家の個性を見出す部分はこの領域を自分なりに突くぐらいしかないのではと思ってしまうのです。音楽を作る以上、何かしらの意図があると思います*2。そういう意味でも、作家さんには何かしらのこだわり・ベクトルを持ってほしいものですね。

*1:確かオルガンの持続音に対してピアノではどうすべきか等の例題があった気がします。

*2:意図が無いという意図も含む