18禁ピアノアレンジ

 18禁ゲームのピアノアレンジなんですが、それだけではなく聴いている人にとってまるで18禁のようなピアノアレンジ。今回紹介する作品はKeyのゲームBGMをピアノアレンジしたアルバム、「Re-feel」。はじめに断っておきますが、このアルバムはKey公認の同人音楽CDではないか思っています。オフィシャルページより

Kanon」「AIR」ピアノアレンジアルバム。 ピアニスト厳選による生演奏ピアノサウンド、全10曲を収録。

 厳選…。とりあえず気がついたところをリストアップすると…

  • 1曲目の出だしから音が強すぎる。
  • 全曲を通してルバート*1が少々過剰。
  • バーブが普通のピアノCDよりもかかっている。
  • 原曲から4和音系バリバリだが、ちゃんと継承されている。
  • 鳥の詩は最後のトラックの割には、盛り上がりにかける。

 これはあくまでも気がついたところなので、この点が「良いか悪いか」は聴いた人が判断した方が良いかと思います。それを踏まえて自分は全部「欠点」だと思っています。
 最初の「出だしの音が強い」について、イメージ上もっと弱く(やわらかく)始めた方がよいかなぁと思ったので。音質的にも「フォルテ」を超えた印象が受けます。
 次のルバートについて。生演奏ならこのぐらいかけるべきだと思わないほうが良いかもしれません。聴く方として、「助手席に乗っていていきなり急ブレーキを踏まれる」ような感じがしてなりません。また、ルバートは基本的に「ルバートなしで進んだ演奏時間とルバートありで進んだ演奏時間が一致する」ことを理想としています。すなわち、「テンポを遅く」したらすぐに「テンポを早く」して相殺しなければならないのです。かのロシアの名ピアノ教師であるゲンリッヒ・ネイガウスはこう言っています。

 「ルバート」とは本来「盗む」という意味があります。文字通りテンポを盗むわけです。しかし、後でそれを返さなければ君は本当に泥棒になってしまいますよ。

 結局このルバートの多用によって、聴き手として「焦らされている」感じを受けてしていまい、それと同時に妙にエロスを感じてしまうのであります(マテ<18禁と読んでしまう所以でもあります
 リバーブについては「まどろむ」印象を持たせるために最適な手法だと思うのですが、生ピアノ演奏の良さを前面に押し出すのなら、すこし過剰ではないかと思いました。
 4和音についてはまぁ「癒し系」の王道ってやつです。古くはロマン派辺りから「解決しない4和音」ってのが出てきてますし、印象派の曲になると頻繁に出てきます。
 最後の鳥の詩。聴いていて、気がついたら「最初の曲」に戻っていました…。自分のプレーヤはリピートでかけてたのですが、要するに「いつの間にか終わっていた」のです。アルバムの最後としてはもうちょっと「盛り上がり」が欲しかったと思わざるを得ません。しかし、これはもう好みの問題になるかと思うので…。
 そんなわけで色々見ていったのですが、やはり一番気になったのは「厳選」ですかね…。10曲中8曲を担当されたKIYOさんはプロのピアニストというわけでもなさそうですね。かつてLeafのオフィシャルピアノアレンジをされた勝俣さんはプロのピアニストだったそうですが、あっちの方は「オフィシャル」にふさわしいCDだった気がします。
 オフィシャルがゆえに「実験的」なことはできなくとも、原曲の雰囲気を残した「スタンダードアレンジ」として、この手のアレンジを評価したいのですが、どうもRe-feelに限って言えば、首を傾げてしまいます…。要するに、この辺の音響は「同人音楽屋」でも作れてしまうのです。
 よって、今日のカテゴリーは「同人音楽」となってしまったのです。

*1:テンポを揺らがせる演奏手法と思ってください