鳥の詩グラピアアレンジ

 といえば、巨大掲示板にて話題になったUnoさんのアレンジです。グラピアとは「グランドピアノ」のことらしいが、どうやら造語と考えられる。このグラピアアレンジが一部で話題となり、今では神として一部の人たちに崇められている存在だとか…。個人的には、自分の作品を「誹謗と中傷の渦」に投下する行動力がすでに神がかっていると思います。それだけでも賞賛すべきです。
 さて、繰り返し言うようですが、私はネットの発展には大変感謝しております。なんと言っても作った人の作品を「ほぼ劣化なし」に試聴できるからです。というわけで、早速その鳥の詩グラピアアレンジを聴いてみました。


……。以上です。



 これだけではあんまりなので、少し考察してみたいと思います。まず、原曲の構成との差を考えてみます。原曲はもちろん「歌」なので、繰り返しの際に「歌詞を変える」という技が使えます。しかし、ピアノ曲となるとそうは行きません。Unoさんはどうやら反復回数を減らし、巧くまとめていると思います。いわゆる「飽きる前に」止めているわけです。よって、この曲をピアノにした場合、フルコーラス版をそのままアレンジしてしまうと、7分近くも「そのまま反復」を聞かされてしまうという罠が待っています。一例をあげますと、鷹石しのぶさんのアレンジ版「Feather in Dreams」が典型的で、音響自体ピアニスティックで良いのですが、サビの繰り返しで「同じ反復をしている」のが勿体無いと感じました。もしかして微妙な違いとかあるのかもしれませんが、そのときは気がつかなかった私が悪かったということでご容赦ください。

 さて、話をグラピア版にもどしますと、一番の疑問は「グランドピアノ」と銘打つ理由です。録音データでは、アップライトであろうとグランドピアノであろうと大して変わらない音響になっています。ビットレートの問題もありますし、それほど「ダイナミクス」を効かせているわけでもない演奏です。グランドピアノの利点を「演奏」という観点と「録音」という観点で無意味なものとしているように感じます。別にただの「ピアノアレンジ」でも充分良かったのではないかと、個人的に思うのですが、やはり作った当事者がつけたものですから、グラピアバージョンと言うことにしましょう。

 最後にこの曲でUnoさんが独自にインスピレーションしたと考えられる点を挙げてみようかと思います。フィルインとコーダに入る部分です。
 フィルインについては、フレーズとフレーズの間に入るちょっとしたフレーズのことで、通称「おかず」とも言います。ちなみにこのグラピアバージョンはフィルインの形が全体を通して同じ感じがします。言うなれば一週間の献立でおかずが全部肉類だったのと同じです。肉食派にはたまらない構成なのでぜんぜん問題ないんですけどね(苦笑
 コーダに入る部分で陽転*1させているのも原曲には無い展開でしょう。

 気がつけば長文になってしまいました。

*1:もともと短調的なイメージから長調的に移すこと。反意語に暗転というのがある。